1. 新規設立に関係する届出書
法人を設立する際に提出する届出書には、以下のものが有ります。
① 税務署への届出書類
(1) 法人設立届出書
(2) 棚卸資産の評価方法の届出書
(3) 減価償却資産の償却方法の届出書
(4) 給与支払事務所等の開設届出書
(5) 青色申告の承認申請書
② 消費税関係(主なもの)
(2) 消費税課税事業者選択届出書
(3) 消費税簡易課税制度選択届出書
③ 都道府県・市町村への届出書等
(1) 法人の設立等報告書
④ 労務関係(参考)
(1) 新規適用届
(2) 適用事業報告
(3) 労働保険関係成立届
(4) 就業規則の届出(従業員10名以上)
(5) 適用事業所設置及び被保険者資格取得届
解説
①(1) 法人設立届出書
法人を設立した際に税務署から提出を必ず求められるものです。
もちろん、法人設立届出書を提出をしていないから確定申告をしなくて良いというわけではありません。
■提出期限■
法人設立後2ヶ月以内
①(5) 青色申告承認申請書
青色申告の承認申請書は、青色申告に様々なメリットがありますので、必ず提出するようにします。
■青色申告の主なメリット■
・欠損金の繰越控除(黒字化した際に過去の赤字を相殺して税額計算すること)
・欠損金の繰戻し還付
・30万円未満の償却資産の一括損金算入(中小企業者等の場合)
・各種の特別償却
・各種の税額控除
青色申告を行っていない場合、白色申告ということになりますが、法人税の確定申告を行う際の提出書類は青色申告と同じです。
基本的には白色申告だからといって申告書の作成が簡単になるわけではありませんので、あまりメリットはなく、上記青色申告のメリットを受けられなくなるデメリットのみあると考えた方が良いと思います。
■提出期限■
設立後3ヶ月経過日と設立第1期の終了日とのいずれか早い日の前日
設立日:H25.7.1、決算日:H25.12.31
→ 設立後3ヶ月経過日:H25.10.1、設立第1期の終了日:H25.12.31
提出期限:H25.9.30が提出期限
設立日:H25.10.25、決算日:H25.11.30
→ 設立後3ヶ月経過日:H26.1.26、設立第1期の終了日:H25.11.30
提出期限:H25.11.29が提出期限
なお、提出期限が土日祝日の場合には翌営業日が提出期限となります。
②(1) 消費税の新設法人に該当する旨の届出書
設立時または次の年に資本金が1,000万円以上の場合に提出します。
なお、法人設立届出書に「消費税の新設法人に該当することとなった事業年度開始の日」を記載していれば提出は不要です。
したがって、通常は新規設立時にこの届出書を提出することはありません。
ただし、設立後2期の間に増資等を行い資本金が1,000万円以上となった場合には課税事業者となるのでこの届出書を提出します。
なお、基準年(2期前)及び特定期間(前期の上半期)に課税売上高及び給与等支払額が1,000万円を超えた場合には、消費税課税事業者届出書(または特定期間用)を提出します。
②(2) 消費税課税事業者選択届出書
多額の設備投資が見込まれるため、免税事業者ではなく課税事業者を選択したほうが納税額が有利になる場合に提出します。
資本金が1,000万円以下の新設法人の場合、通常免税事業者となります。したがって、第1期に多額の設備投資を行った場合、原則課税では消費税が還付される場合でも免税事業者の場合は還付を受けられません。
そこで、この届出を提出しておけば課税事業者になるので、還付が受けられるということになります。
②(3)消費税簡易課税選択届出書
消費税計算を簡便的に行いたい場合や原則課税よりも簡易課税を選択したほうが納税額が有利になる場合に提出します。
簡易課税を選択した場合、第1種から第5種までの事業区分に応じたみなし仕入率で仕入控除税額を算定することが出来ます。
計算方法が簡単なだけでなく、実際の原価率がみなし仕入率よりも低い場合には消費税の納税額が少なくなりますが、その逆の場合は納税額が多くなります。
また、簡易課税を選択する場合は消費税が還付されることはありませんので、多額の設備投資が見込まれる場合には、予め原則課税を選択しておく必要があります。
いずれの場合も事前に納税額のシミュレーションを行って課税事業者が有利か免税事業者が有利か判定することが不可欠となります。